2015-01-03

愛媛の和紙「泉貨紙」


昨年11月、和紙が無形文化遺産に登録されましたが、四国の和紙(土佐和紙など)は残念ながら登録に至りませんでした。愛媛にも手すき和紙はあるのかなと調べてみると、なんと県内4つもの地域で作られているではありませんか!

早速、車を飛ばして「泉貨紙(せんかし)」という和紙が作られている西予市の鬼北町へ。
松山の市街地からは、片道2時間ほどのところです。

道の駅の「広見森の三角ぼうし」や「日吉夢産地」に泉貨紙を使った一閑張りのバックなどが置いてあるという情報を仕入れたので、とりあえずそこに向かいました。

しかしその日は残念ながら「広見森の三角ぼうし」の定休日。(道の駅って定休日があったのか…)仕方がないので「日吉夢産地」へ。車はどんどん山の奥に入っていき、道沿いには大きな川が流れています。


やっと日吉夢産地に到着し、店内をぐるぐると見回ってみるものの、一閑張りの商品らしいものはありません。(レストランの端っこに、和紙のポストカードはありましたが。)


うーん、これだけなのかな?と思いながら、職員さんに聞いてみると、泉貨紙保存会メンバーを知っているからとその方の連絡先を教えてくれて、運よくお会いできることになりました。

そして、泉貨紙保存会メンバーの方のご自宅を訪ね、その方が見せてくれたのが、これ!!


とっても素敵な一閑張りのバッグです。

泉貨紙というのは、通常の手すき和紙の3倍ほど厚いのが特徴で、その厚みを活かした日用品として加工され古くから親しまれてきた和紙なのです。

そこに柿渋を塗ることで耐水性と強度が増し、使い込んでいくうちに艶が出てきて綺麗な飴色になっていきます。中には革のような材質になるものも。


久しぶりに一閑張りを見たので嬉しくて興奮していると「今ちょうど工房で和紙の原材料になる楮(こうぞ)を浸しているから行ってみたら?」と、工房の住所を教えてくれました。(愛媛の人はなんて優しいんだろう…。)

もちろん、私は車を飛ばして工房へ。

工房では、ちょうど楮を川に浸していました。


大きな水槽などで楮を浸しているのはこれまでも何度か見たことがありましたが、こうして実際の川に浸しているところを見るのは初めて。貴重な光景です。


2日ほど浸したら、楮の皮に含まれた塵をとっていきます。冬の作業は、寒さとの戦いです。


こうして下準備を終えた楮は、泉貨紙用の伝統的な道具によってすかれて和紙となります。

こちらが完成した和紙。(上が塵を取ったもので、下が塵を取らなかったもの。)


一閑張りに適した頼りがいのある泉貨紙。
手触りも見た目も、存在感が違います!

ここまで厚い手すき和紙は、日本でも希少です。
今後の展開も目が離せません。