2015-05-04

八坂寺の火渡り

愛媛・松山市にある第47番札所「八坂寺」。

ここでは毎年4月29日に「火渡り修業」が行われています。火渡りが行われるのは、山を背景に睨みをきかす不動明王(いやさか不動尊)がいるこちらの場所。


中央には、こんもりと長方形に積み上げられたヒノキの葉が。
山伏にお聞きしたら、これは「炉(ろ)」と呼ばれていて護摩木を焚くものだとか。


本堂で祈祷を終えた山伏が、ホラ貝を吹きながら火渡りの会場へ進んでいきます。


火渡りが行われる場所には結界が張り巡らされており、その一箇所を切って順番に中へ入っていきます。


中では、弓や剣などをつかった儀式が行われます。弓矢を四方に放ったり、剣を持って舞いを披露したり。


儀式がひと通り終わると、いよいよ点火。もくもくと白い煙が立ち上がります。


煙で周囲が見えなくなるほどでしたが、ご住職や山伏が般若心経を唱えてご祈願。見学に来ていた地域の方も、一緒に唱えます。


風が強かったので、火も高く立ち昇ったり、右や左に大きく揺れたり、まるで生きているよう。

燃えさかる炎の中に、願い事が書かれた護摩木を投げ入れていきます。


一番前で見学していた私の所にも火の粉が結構飛んできて、リュックがちょっと焼けました。火の力って、やっぱりすごい…。

火渡りは、これを鎮火させた後に行われました。


私が興味をそそられたのは、こんもりとした形のこれ。山伏の行列の後尾に、神輿のように担がれてきました。


よく見ると「魔除け」がたくさん刺さしてあります。まるで針山のよう。


真意が気になりましたが、お寺の方は皆さん忙しそうで聞けなかったので、このナゾについては後日調べてみようと思います。



あとカラフルな五色の「紙垂(しで)」も、初めて見たので驚きました。


なぜ五色なのか。明確な理由は分かりませんが、この五色幕が表すように仏教の五色に関係している気がします。





そして、終始目が釘付けだったのは、山伏の装束!
白だけでなく黄色も何種類かありましたが、個人的には淡いクリーム色(一番右)の色味が一番素敵だなぁとしみじみ。パターンも組み合わせも、色んなバリエーション(?)があるようです。


ちょっと気になった装束がこちら。
背中に不動明王など仏像がデザインされています! オリジナルのプリントなのか、それとも判子(のような御朱印的なもの)なのか分かりませんが、なんとも可愛らしいデザインです。


ちなみに腰に巻いてるのは、鹿など動物の毛皮。
山に修業に入った時に、すぐ地面に腰かけられるように巻いているそう。(山伏にお聞きしました)





八坂寺は境内が広いので、見応えがあります。
こちらが大師堂。(この他に、本堂、権現堂、十二社権現堂があります)


鳳凰の懸魚も素晴らしいのですが、赤褐色を帯びた鬼瓦(しかも亀付き!)が何とも言えない風情があります。


鐘楼の屋根の巴瓦(丸いところ)には、八坂寺の「八」が施されています。




八坂寺は、修験道の開祖・役行者小角が開基と伝えられているお寺だけあって、興味が尽きません。まだまだ解けない謎がたくさんあるので、これからも通いたいと思います。



第47番札所 熊野山 妙見院 八坂寺
愛媛県松山市浄瑠璃町八坂773
http://www.88shikokuhenro.jp/ehime/47yasakaji/